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運転士時代に添乗してきた監督職にブチ切れたことが……

運転士
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監督職は監督指導も仕事です

車掌や運転士は乗務員室内で1人で仕事をしています。もちろん他の係員と連携して仕事をしているわけですが、直属の上司が常に監視している状態で仕事はしていませんし、車掌にしろ運転にしろ自身の判断によって仕事を進めていく場面はかなり多い。

ただその仕事の進め方(規則や規程のほか会社側や乗務区独自の考え、決まり、掟、風習など)については定期的に行われる研修によって周知徹底されるわけですが、本当に会社側が伝えている通りに仕事を行っているのかを監督したり、できていない場合には指導するなど、お目付け役のような存在が助役以上の監督者ということになります。

普通の会社ならば〝管理職〟の位置付けになると思いますが、私がいた会社では駅長や乗務区長以上が管理職で、一般の乗務員や駅員は作業職、この二つの間に挟まれている役職は監督職と呼ばれていました。

裏面添乗のように隠れて乗務員をチェックすることもありますが、普通に乗務員室に添乗して監督指導するのが基本で、私が助役をしていたときは全乗務員への添乗は月に最低2回と乗務区内で決まっていて、月末になると添乗回数が少ない乗務員をリストアップし手分けして添乗しに行くのですが、ヒマな乗務区副長が乗務行路のように添乗する順番を作って助役に〝命令〟を下す、なんてこともありました。

だいたい月末になってもあまり添乗されていない乗務員って、結局はその人と同じ乗務員室にはいたくはないなと助役から敬遠されているわけで、そんな人ばかり添乗する行路を作られても……。

 

上から言われて指導に来ているわけだけど

○○列車に添乗して××駅へ行くといった定期で添乗する助役の作業シフトもあり、この時は添乗に来ても雑談が多いし、指導というよりは注意喚起で、

「昨日の夜遅くなんですけど、○○ということがあったので気を付けてください……」

この程度の話がほとんどですが上役に

「○○を指導して来い!」

と言われてやってくるときは、まったく様相が違います。

〝俺は助役だ! 上役だぞ!〟

みたいな雰囲気を一切隠さず添乗にやってくるバカな助役は乗務員室に入ってくるなり、

「前回の研修で周知徹底をお願いした○○(事項)ができていないので、まずはそこを直してください!」

なんてストレートに言ってくる人もいるし、乗務員室に入ってからもなかなか切り出せなくて、降りていく寸前に、

「前回の研修で周知徹底をお願いした○○だけ気を付けてください……」

なんていう人もいます。

助役の作業ダイヤで添乗に来る列車は把握しているので、それ以外の列車に添乗に来るということは、上に何かを押し付けられて何か言いに来たのだろうと分かっているので、これらのどちらのタイプで〝指導〟されても気にはなりません。

ただブレーキをかけるタイミングで話しかけて来られると正直言ってムカッ💢!ときますし、どこで一発目の階段(ブレーキを緩めること)をしようかなと神経を集中しているときに話し掛けられると、タイミングがすべて狂ってしまってそこからの制動操作はグチャグチャに。

それでも何とか停目に止めてから、

「お前、制動操作中にグチャグチャぬかすな! お前も運転士経験者なんだから、操作途中に話しかけられたら集中できなくなることくらいわかるだろ! 二度と添乗に来るな!」

こんな感じでブチ切れたことが二十数年の運転士生活の中で三度くらいはあったかな。こういう人って上から言われたことをそのまま伝えることが任務で、それ以外のことは知らない!みたいな単細胞な人たちというか、ちょっと自分の頭の中で考えてみることができないタイプかなと思うのですが、どうでしょう。

 

複数で添乗してきて私語ばかり

助役クラスにもいるのですが、本当に酷かったのは乗務区長と乗務区副長の二人が添乗してきて(大規模工事の進捗状況の確認と視察のために添乗に来たような……)

「区長の家の犬は……」
「副長の家の犬の犬種は……」

みたいに乗務員室に入ってきてずっとそれぞれの犬自慢を展開し、副長は区長のご機嫌を取るためにヨイショばかりで、くだらない話を聞かされながら運転していた私は爆発してしまい、

「お前ら普段は客の目があるから運転士と車掌はホームで話をせずにすぐに乗務員室へ入れなんて偉そうに言うくせに、二人そろって犬の話って私語そのものだろ! 次の駅で降りろ!」

ってマジで怒鳴ったことがあります。

副長はムスッとしていましたが区長はずっと謝りっぱなしだったし、後日乗務員の休憩所の真ん中で区長は私に頭を下げた、なんて一件もありました。

 

さすがに今の時代に添乗にやってきた監督職・管理職が私語ばかりしているとか、運転操作の邪魔になるような指導を乗務員室内ではしないと思いますが、20年ほど昔までは何にも考えていないおバカな上司もたくさんいたんですよね。



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