先日、運転士見習として少しはお勉強していたものの、なぜだか途中でリタイアして駅員をしていた社員が、運転させてほしいといして運転席へ侵入し旅客が乗車する列車を運転した件。
見習中に貸与されていた鍵(忍び錠かな?)を見習を途中で辞めたのに返却せず所持しており、その鍵を使って運転席に侵入していたと報道されています。
一部の報道では少なくとも15回は運転席へ侵入していたようですから、完全な常習犯でしょうね。
無免許で実際に運転したのは2回と報道されていますが、実際にはどうだったのかも疑問です。
この鍵の件ですが、返却しなかったこの駅員がというよりは、返却させなかった会社側の責任がかなり重い。
私も少しばかり助役をしていましたが、昔ながらの台帳とデータとして、誰にいつ忍び錠、マスコンキー、運転時計を貸与し、いつ返却されたのかはきちんと管理されていました。
運転時計は10年で払い下げされていましたが、忍び錠やマスコンキーにはすべて記号・番号が刻印されていて、その所在がわかるように管理されていたのですが、どうにも養老鉄道ではこの辺りも杜撰だったようです。
私の経験では、退職時にも真っ先に忍び錠とマスコンキーの返却を要請されましたし、見習も含めて車掌や運転士の業務から退くことになれば、まず鍵を返せと強く言われていたのですが。
中部運輸局は養老鉄道に対して、運転業務を管理監督する立場の「運転管理者」の解任を命じる行政処分を検討しているとも報道されていますし、内部はかなり杜撰だったのかなと思います。
JR九州・久大本線の古国府駅で、乗車しようとした約30人のうち20人は乗車できたが、約10人が乗車しない間にドアが閉まり出発した。
2025年11月17日の朝のラッシュ時間帯の由布院発大分行きの2両編成(ワンマン)で、およそ150人が乗車していたようです。
たまたま一人が乗務員の死角にいて、確認できないままドアを閉めて出発したというのならばわからなくもないですが、約10人が乗車する前にドアを閉めたというのはちょっと理解しがたいな。
乗り降りの激しい駅で乗車しようとする人と降車した人が交錯する駅では、たしかに分かりにくい面はあります。
狭いホームなのに降車した人が黄色の点字ブロックより車両寄りを歩いていて、乗車しようとする人が見えないなど物理的に見えなかったとか。
もしもこの件が起きた古国府駅がそういう乗降の激しい駅ならばあり得るけど、ちょっと違うような気も……。
一瞬乗降がなくなりその隙を狙ってドアを閉めるとか(都市部の鉄道ではこうでもしなきゃ遅延がどんどん酷くなる)
その約10人が乗車する素振りをまったく見せず、乗降は終わったものと判断してドアを閉めたとか。
運転士の直視によってドアを閉めるのならばまだしも、ホームミラーやモニターでの乗降監視だと見えない部分は直視より多くなると思いますし、そのあたりが原因なのかな……。
最後に山陽新幹線で運転士が走行中に離席したという報道。
2025年11月16日午前9時34分ごろ、新大阪と新神戸の間を走行中の「こだま845」で、車掌が乗務に必要な鍵を所持していないことに気付き運転士へ連絡。
運転士に鍵を借りようと思ったのでしょうね。
運転席の扉は鍵やラッチで閉じられているので車掌が入れない、そこで運転士はこの扉を開けるために走行中に離席した。
当時新幹線は225キロで走行しており、約5秒間離席したので約300mは運転士不在で走行したということになります。
鍵を忘れていた車掌が事後に報告して発覚した。
225キロで走行している新幹線の運転士が席を離れた
ばかりがクローズアップされて報道され、また走行中に運転士が席を離れることは社内規定などで認められないので、この運転士は処分されるのでしょうね。
でも、
運転士が席を離れるように仕向けたのはこの車掌で、おそらく鍵は借りたのでしょうね。
でもこういうことをやっちゃいましたと事故報告して、運転士の善意を処分という方向に持っていたのも結局はこの車掌。
運転士もダメなんですよ、規定で離席は認められていないのに席を立ったわけですから。
車掌からの要求を運転士が断り、この車掌が恥ずかしさを押し隠して無線で指令に、
「乗務に必要な鍵の所持を忘れました」
って報告すれば良かったのですから。
運転士の立場からすればもらい事故です。
最後にこの運転士の離席の件でYahoo!ニュースのコメントにエキスパートさんが、

新幹線の運転は自動に近いものの、前方を監視し続けることは必要で……
あのねえ、新幹線の運転士に前方注視の義務は課されていないのよ。
もちろん駅の停止位置に止める時などは前を見てなきゃいけないけど、時速200キロ以上で走行することから新幹線開業時に新幹線に限って前方注視の義務をはずしたのよ。
この人、どこがエキスパート?
