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入換運転時の車掌の乗務と合図

車掌
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鉄道に興味のある人は〝入換〟という言葉をよくご存じだと思いますが、一般の方はどうなんでしょうね。やっぱりわからないのかな。

簡単に言えば車両を移動させることを入換と呼んでいます。

列車ではなく車両です。

列車標識を備えるなど列車としての要件を備えておれば列車で、備えていなければ車両というのが大原則になります。

車掌の乗務が必須となっている路線(本線路上)では列車には車掌が乗務しなければ運転できませんが、この路線の駅と車庫との間(隣接する場合など)や同一駅のホームと引上げ線の間の移動は入換運転になり、車掌が乗務しなくてもよいとする社局が多いですね。

私がいた会社でも入換運転時や回送列車での車掌の乗務を廃止して、その分車掌の乗務時間を延ばすという合理化案が会社から提示されましたが、労働組合が拒否したので車掌が乗務していました。

※今はどうなっているのかな……。

 

2025年6月27日に札幌駅に到着した特急「カムイ4号」

札幌止まりで別ホームに入換後別列車として運転するため、車掌は車内を見回って降車完了を確認後に閉扉。

ところが間違って乗車してきた客を見つけたため、車掌は乗務員室からホームへその客を降ろそうとしていた。

この間にタイミング悪く入換信号機が現示したのでしょう、運転士は現示に従って入換運転を開始。

幸いその客も車掌にもケガ等はなかったのですが、下手すれば乗務員室から降りている最中に動き出し、転倒してホーム下へ落下……、みたいな危険性もはらんでいますよね。

車掌が運転士へ旅客対応を行うから入換は少し待ってくれと伝えておればよかったのですが、そういった連絡もなかったようですから、運転士は入換信号機が現示すれば動かしますからね。

 

実際のところ、入庫させようとか引上げ線へ入換しようと必死になってお客さんを降ろしたものの、周囲の案内表示は見ないし放送も聞かない人が乗り込んでくるケースはかなり多い。

例に出した札幌駅のケースでは外国人の女性だったと報道されているのでわからなかったのかもしれませんが、日本人でも何も確認せずドアが開き、そして空いていて座れるからと乗り込んでくる人は少なからずいます。

 

私がいた会社では入換運転時、規則では車掌との間で合図を送るといったものはなく、入換信号機の現示を確認したら運転士は直ちに入換運転を行うことになっています。

車掌は車両が動き出したことを確認すると側方監視(ホーム注視)を行うことになっています。

これは規則で決まっているものではなく、以下のような事故が起きてからのことです。

いつごろなのかはわかりませんが(おそらく昭和20年代とか30年代)、到着した列車からお客さんを降ろしてドアを閉めた車掌はそのまま下車して乗務区へ。

運転士は入換信号の現示に従って運転するわけですが、ホームにいた旅客が動き出した車両と接触して負傷(亡くなったのかも)するという事故がありました。

仕業の上では車掌も入庫することになっていましたが、この当時は入庫せずに帰っちゃう車掌が多かったとか。

ただし入換運転の際の側方監視は車掌に課されておらず、運転士も入換運転時の車両の側方に対する注意義務もない。

この時の車掌は〝仕業を途中で放棄〟つまりはサボったとして注意を受けただけで終わりました。

ただ会社としては旅客の負傷事故(死亡事故かも)として重く見ていて、この事故以降は入換運転であっても車掌はホーム注視を行うことが社内の決まりとなりました(規則ではなくお願いベースだけど)

 

長らくここからの変わりはありませんでしたが私が車掌の時、ちょっとしたトラブルがありました。

まだ表示幕(方向幕)が設置されておらず、運行標識板(看板)を掲げて運転される列車が多かったのですが、入庫時は駅ホームの端っこにあった運行標識版の収納場所(看板置き場)に運行標識版を入れておくことになっていました。

ある時、入庫となる列車でしたが酔っぱらいが多くて降ろすのに手間取り、その間に入換信号機が現示された。

車掌は何とかドアを閉めて、ホームの無い側に掲出されていた運行標識版を抜取ろうとした瞬間に電車が動き出してしまった。

その勢いに車両から軌道内へ転げ落ちそうになった車掌はブチギレ、入庫してから運転士にその運行標識版を投げつけたという事件が起きました。

入換運転時は信号現示を確認した運転士はすぐに入換運転を開始することになっています。

これは今回の札幌駅も同じです。

ただしホーム上では、空っぽの電車にもたれてみたりなぜか中を覗くような人もいます。

そこで私がいた会社では看板投げ付け事件を契機に、ホームからの入換運転の場合は運転士が車掌に対して〝入換運転を開始しても良いか〟というベル合図を送り、ホーム上の安全が確認されれば車掌が運転士へ〝入換運転をしても良い〟としてベル合図を送り返すことになりました。

これも規則で決められたものではなく、あくまで〝お願い〟ですが、今ではホームからの入換運転で運転士が信号現示を確認しただけで車両を動かすことはまずないと思います。

ちなみに入換運転に関するベル合図は〝出発しても良いか〟〝出発せよ〟のベル合図を流用した形になっています。(二点合図)

こういった経緯もあるので、入換運転時や回送列車での車掌の乗務を廃止に労組は反対したのかなと。

ただ、ホームの看板置き場に置けなかった看板を運転士に投げ付けたのはやりすぎですね、反省してます ←オレかい!

 

札幌での話に戻して。

乗務員室扉は開いていようが合図灯は点灯しますので、もしも乗務員室から旅客を降ろす場合には運転士への連絡は必要ですね。

今回のケースでは何も連絡をしなかったから入換運転を始めたわけですから。

ホームに駅の係員がいればそちらへ手を振って合図を送るなどもできます。

乗務員室から旅客を降ろす前に非常ブレーキを引いておくということもできましたね。

今回は何もしなかった車掌に非があるということになります。

特急型の車両なので仕方がないのかもしれませんが、通勤型しか走っていない私がいた会社だと乗務員室へ連れて行くのが面倒なので、ドアコックを開いて降ろしていました。

こうすれば合図灯も点灯しないので運転士は車両を動かすことができませんからね。


 


 

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