運転士時代は車両をもっと詳しく知りたいと思っていた

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毎日新聞に、日本一短い西九州新幹線、運転士は「三刀流」 コンパクト経営支えるという記事が掲載されており、運転士は車掌のほかに「仕業検査」にも従事するという内容でした(2025/9/23付)

今は多くの鉄道社局で駅から車掌、そして運転士へと進むコースが一般的。

車掌を廃してワンマン運転のみの社局もありますが、その場合は駅からすぐに運転士でしょうか。

会社によっては日頃は全線でワンマン運転を実施しているけど、運転士の見習に入る前に車掌を経験してもらおうと、その期間だけ一部列車で車掌が乗務するというケースもあるようです。

私も駅を2年、車掌を4年経験して運転士になりましたが、このコースで運転士になるのが当たり前だと思っていたわけですが、いざ運転士になり乗務をしだすと痛感したのが、

もっと車両のことを詳しく知りたい

ということでした。

 

もちろん、走行中に故障した場合の応急処置は習っていますし、チャート式でどこを点検すれば良いのかがわかるカンニングペーパーも持ってはいました。

実際に走行中に車両故障に遭遇して応急処置をしたことはありますから、特に問題なく数十年間乗務したわけですが、それでも、もっと車両のことを詳しく知りたいと常々思いながら電車を運転していました。

 

国鉄時代だけではなくJRに移行後もしばらくの間は、車両検査など検車を経験した方が運転士になることが一般的でした。

これの何がいいって、修理できる技能を持った人が運転するわけですよ、この程度の故障ならば大丈夫とか、これは最寄り駅で処置が必要とか、これは運転継続しちゃいけない故障だなんて分かるわけですよ。

でも私のように駅や車掌といった営業や運転業務の経験しかない運転士は、応急処置はできるけど、それ以上の判断なんてできません。

車両検査を経験した人ならば、この程度だったらこのまま運転継続しても支障なしと判断するところを、私だと列車無線で連絡して指示を仰いで処置に当たるなんて流れになり、遅延を拡大する方向になりますからね。

 

それに、何もなく普通に運転している時でも、時に異音がしたりいつもとは違う振動を感じる時があります。

本当に軽微なものだとしても、事故以上にどこかが壊れたのかなという不安に駆られることも多かった。

だから本当に、運転士になるには車両検査などで車両に携わった人がなるほうが良いと思っていましたし、後からでもいいから半年とか一年くらい車両検査に携わって車両のことをもっと知りたいと思っていました。

そんな願望は叶いませんでしたが……。

 

私、日頃はJR九州に対してあまりいい印象はなく、このブログでもきつめな記事を書くことが多いのですが、日本一短い西九州新幹線、運転士は「三刀流」 コンパクト経営支えるこの記事に関しては八割位は賛成できます。

やっぱり運転士は車両を知るほうが良い、そのためには車両検査などを体験するほうが良いと思っていますから、そういった意味では悪い取り組みではないと思います。

だってJR東日本みたいに乗務と事務職を兼用させるジョブローテーションなんて、あれは会社にとってメリットがあるだけの制度、会社はこういう時必ず美辞麗句を並べますが、結局はどの仕事に対しても中途半端になるだけ。

それに一日の仕業の中でラッシュ時間帯などには乗務して、閑散時間帯は事務職みたいな使われ方だったように記憶していますが、乗務するうえでの技術や意識の向上なんて目指せないだろうし、事務の仕事が気になって乗務でミスしたらどうするのかなって、勝手な想像をして心配してしまいます。

 

西九州新幹線でどのような仕業が組まれているのかはわかりませんが、一日の仕業の中に乗務と車両検査の両方が組み込まれていなければいいのになとは思います。

今日は乗務で泊り勤務、次は車両検査で日勤勤務、みたいな感じだったらまったく問題ないし理想的です。

ミックスになっていても、その分休憩時間を確保すると言った細かい部分でケアできていればいいのですが。

 

そう言えば、今はなき「北神急行電鉄」でも運転士や車両検査などを兼務していたそうで、やはりそう言った方だから車両のことをよくご存じなのですよね。

兼務による人件費カットは致し方ないのですが、ただし兼務する仕事は関連する仕事だったり、双方の仕事に役に立つものでないと意味がない。

だから私としては珍しく、JR九州のこの三刀流は支持します。


 


 

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