2025/12/20 11時ごろ、近鉄京都線・新祝園駅近くの踏切で京都発橿原神宮前行きの特急列車と軽乗用車が衝突し、約200mほど押し進んで列車は停車した。
軽乗用車は炎上し特急列車にも延焼、さらに新祝園駅を出発直後の急行列車にも接触し、近鉄京都線は20時ごろまで不通となった。
踏切手前で停車していた自動車に軽乗用車が追突、押されて自動車は踏切内へ入れられたが何とか運転して踏切から脱出。
追突した軽乗用車も踏切内へ侵入し特急列車と衝突したようです。
急病によって意識がなかったのか、飲酒等があったのか、はたまたブレーキとアクセルの踏み間違いで衝突し、気が動転して何もできなかったのかはわかりませんが、踏切手前で停車中に後続の車に押され、遮断桿が閉まる踏切へ入れられた運転手さんは生きた心地がしなかったでしょうね。
本当によく脱出できたものだと思います。
報道では乗客乗務員ともにけが人はいないとの報道ですが、特急列車の運転士は車と衝突した衝撃をもろに受けていますし、その場では当然ですが興奮しているし、旅客の避難誘導や消火活動、指令などとのやり取りなどで自身の身体の状態なんて気に留める隙も無い。
所属している乗務区や警察での事情聴取を終え、少し心が落ち着いたころに足が痛いなと思ってズボンをめくると、どこかにぶつけて大きな青あざができているとか、何だか首の調子が……、なんてことも起きます。
私の後輩で踏切で乗用車と接触事故を起こした運転士は、数日後になって首の痛みに気付いて受診し、首だけではなく膝の不具合も医師に指摘され、そこから半年間休職したなんてことも現実にありましたから。
踏切障害物検知装置があり、遮断桿が閉まったあとに侵入した車を検知したとしても、当該踏切にかなり接近している列車は当該踏切までに停車することは不可能です。
あくまで踏切内に取り残された車を検知する装置であって、遮断状態の踏切に侵入した車を検知して列車を止める装置ではありませんから。
自動車程度の制動力があれば、かなりの事故を防げるようにはなると思います。
ただい自動車程度の制動力を鉄道車両に持たせるとすると、鉄道が経済的だと言われる惰行運転を犠牲にする必要が出てくると思うので、かなり難しいでしょうね。
それに現状の非常ブレーキでも入れた瞬間に投げ出される旅客は少なくないですから、今以上の制動力を非常ブレーキに持たせると、車内でのケガ人が相当増えるでしょうし。
今回の事故、大きな火が上がってはいますが、近鉄の車両は軽乗用車と衝突した特急車両も巻き添えを食う形の急行も車両の一部分は燃えましたが、火に包まれて全焼と言った事態にはなっていません。
鉄道に関する技術基準の第83条
「旅客車の車体は、予想される火災の発生および延焼を防ぐことができる構造および材質でなければならない」
この省令によって旅客車は難燃性の素材を用いることが求められており、この基準に沿って鉄道車両は作られているので、大きな列車火災には繋がなかったのでしょう。
もちろん絶対に燃え上がらないというものではなく、ある程度の時間と温度に耐えられるという構造なわけですが、特急車両は運転台部分のみの延焼で済んでいますし、急行車両は燃え上がったというよりは焦げたっていう感じでしょうか。
こういった部分も過去の大きな事故による経験が生きているんだなと思います。
