私の担当路線の中にワンマン運転が実施されている路線が含まれており、私も当然ながらワンマン運転を担当することがありました。
ただし100を軽く超える仕業の中でワンマン運転は10も仕業数がなく、本当に滅多に担当することがありません。
乗務前には、今日はワンマン運転実施路線だなと意識づけはしているので、最初の出発時は操作を忘れることはありません。
操作と言ってもいわゆる都市型ワンマンだったので、ドアの開閉や放送装置の操作(通常の放送は自動化されているのですが、時々手動介入させなきゃいけない放送があったり……)程度なのですが、それでも忘れることが発生します。
運転士が口を揃えて言うのが、駅到着時に何も操作せずにジーっとしてしまうこと。
普段は駅に到着すれば車掌がドアを開ける、これが完全に染みついているので、時々ドアを開けるのを忘れてしまうのです。
いつも通りに駅に停車させて、スタフを見たり信号を見たりして、でも何だか様子がおかしいなとふと戸閉合図灯を見ると点灯したまま。
そうだ、今日はワンマン路線を担当していたんだ――。
そこから慌ててドアを開けて乗降扱いをしてと言う感じでしたが、おそらくドアを開け忘れている時間って5秒もないくらいだと思います。
でもすごく長く感じて、反省するわけですよ、今日はワンマン運転だからドア扱いをしなきゃって。
なのでドアを閉め忘れるっていう勘違いと言うか間違いは起こりにくいんですよ。
※昔(2009年1月17日)、ドアを閉めたと勘違いして、列車が起動しないのは何かの故障だと思い込み、リレースイッチを切り替えてドアを開けたまま出発させるというインシデントが某社でありました……。○○線扉扱いインシデント
ドアを閉めるのを忘れるというか、出発指示合図(ベルとかブザー、メロディなど)を聞き逃してドアを閉めるのが遅くなるということは何度かやりました。
車掌をしていると信号機や反応灯の確認の後、発車メロディを聞き終わってから安全確認の上ドアを閉めるという一連の作業を毎日こなすわけですが、運転士の作業には発車メロディを確認するなんて作業はありません(他社は知りませんよと書いておかないと、運転士などと名乗るXのアカウントで嚙みついてくる……)
信号機の現示とスタフと運転時計で出発時刻を確認し、戸閉合図灯の点灯と車掌からの出発合図を確認して列車を起動させるという作業が日常で、発車メロディなんて本当に気にもしていないんです。(私だけかも……)
信号機は進行を指示する現時になっているし、スタフと運転時計を見るとすでに出発時刻を回っているし、前方の踏切も閉まっているし、それで慌ててドアを閉めて出発させたという……。
あと単純に怖いのが、交代時間を忘れそうになることでしょうか。
運転士と車掌が一日ペアになって乗務(運転士と車掌は同じ仕業に乗務)するのですが、交代遅れがないようにするために、年下の乗務員が乗組みに声をかけるという暗黙の掟がありました。
もちろん年下の乗務員が時間を忘れて、超ベテランの乗組みに、
「時間やから先行くぞ!」
なんて声をかけられるとその後は謝りまくるのですが、ワンマンだと誰も声をかけてくれない。
何せ乗り組みがいませんから。
私はワンマン運転担当の日はとにかく遅れちゃいけないと思って、休憩時間なのに時間ばかり気にして休憩した気にならず、休憩時間で逆に疲れることもありましたね。
乗務しだすとホッとするのはいいけど、今度はホッとしすぎてドアを開け忘れそうになったり……。
息の合わない車掌と乗組むくらいならばワンマンのほうが良いという運転士もいましたけど、私はとにかくワンマン運転は変な疲れが残るから嫌いでした。
そしていやいやワンマン運転を担当した翌日、今度は車掌といつも通りに仕事するわけですが、なぜか前日のワンマン運転を引きずっていることがありました。
終点に到着して、前後切替スイッチを「前」から「後」に、開いている側の車掌スイッチ(ドア開閉スイッチ)を「開」に切り替えて、ドアの切替えが完了したことを車掌へベル合図で知らせる。
何十年と行っているこの操作なのに、なぜか一瞬頭の中が〝ワンマン〟に切り替わってしまい、前後切替スイッチを「前」から「後」にした後、ワンマン運転用のドア開閉スイッチに手を伸ばして操作しそうになるのです。
車掌が乗務している時にワンマン運転用のドア開閉スイッチを触っても動作しない構造になっているので、何もトラブルには発展しないんです。
でも自分自身で何だか気持ち悪くて……。
ずっと毎日ワンマンを担当ならばこういったミスは起こさないでしょう。
でも私がいた会社みたいにごく一部の路線はワンマンで、大半は従来通り車掌と乗組む路線、しかもワンマン運転は1カ月以上回ってこないこともあると、なんかヤラカシそうになるんですよ。
こんなこともあって、私はワンマン運転は好きにはなれなかったです。。。