桟板と言われてそれが何なのかが分かる人って、世間一般ではあまりいないかもしれませんね。
桟板の桟という字は
「かけはし。けわしい所にかけ渡した橋」を意味するそうで、桟橋とか桟道といった言葉に使われます。
電車の場合は連結している車両間を渡りやすくするために設置されている板で、桟の字が充てられて桟板と呼ばれています。
ただ会社にいた当時、社内で桟板という言葉を耳にしたのは数回しかなく「渡り板」とか「歩み板」など別の言葉で呼ばれていました。
先頭車両にも連結時に備えて桟板を備えている車両もあり、黄色の矢印で示したものなのですが、一般的に先頭車両に出た場合には桟板を上げておきます。
連結に備えて設けられている桟板ですが、降りた状態だといざ連結する時に自車の連結器が運転士からは極めて見づらいですし、そもそも連結する際には連結器の位置が連結に適した場所にあるのかを最初に確認する必要もあります。
こんな感じで連結器が左右にずれていると連結できない可能性が高くなりますから、連結器の位置確認っていう項目が作業手順には入っていて、貫通扉(センター扉)を開けて連結器の中心位置が合っていることを確認するとなってました。
※異常時の連結作業の手順です。
ちなみに連結器が左右に振られていて連結できそうにない時には、手で動かすのはさすがに重すぎるのでカプラーの部分を蹴って修正していました。
桟板は連結作業に備えて上げておくのが普通なのですが、阪急電車って下がっているものが多いですね。
手持ちの阪急の写真は本当に数が少ないので、ストックフォトの阪急の画像を数百枚見てみましたが、桟板が上げられている画像は本当に少ない。
ここからは聞いた話になりますが……。
元々阪急でも通常は桟板は上げているのが定位で、昔は下がっておれば出庫時に運転士が上げていたと言いますし、業務側(上司など管理者側)も桟板は上げておくようにと指導していたと言います。
おそらくですが、やたらとヘッドマークを掲出するようになったあたりから、桟板を上げなくなったのだろうとのことでした。
ちなみに桟板を上げるのは異常時の連結作業に備えて……、のような仕事熱心さからくるものではなく、桟板の高さが事故時にはちょうど首のあたりに……。スパッと切れてしまうことを嫌がったから上げておくのが定位だなんて言ってました。
※本当かな??
私がいた会社の話に戻しますが、検車の係員は桟板を上げておくのはどちらかと言うと嫌がっていました。
検修庫で点検を行う際に桟板を下ろすらしいのですが、走行中に衝突した鳥(スズメやハトなど)が車体と桟板の間に挟まっていることがあり、日数も経過している場合にはなかなかの状態になっているからとか。
なので本音で言えば桟板は下ろしたまま走行してほしいが……、といったことを聞いたことがあります。
近鉄のようにいろいろな車両を連結して運転する会社だと、すべての先頭車両に桟板は必須となるけど、これまでは基本的に先頭車両に桟板を設置していた会社でも、通常運転時には連結・増結しての運用がないから桟板も設けない、そんな車両も増えていますね。
※阪急だと1000・1300系からは桟板が無かったような……。