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工事の作業員や列車見張員(監視員)のこと

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工事の作業員や列車見張員(監視員)のこと運転士目線から見た作業員や列車見張員のことについて書いていきます。

線路内で作業している人には鉄道会社の社員もいますが、通信や電気関係の会社から派遣されて作業する人もいれば、下請け企業の方も多数作業しています。

鉄道会社の社員はそれこそ触車災害については口酸っぱく注意を受けていますので、列車接近時の退避も比較的早く行われます。

通信や電気関係の会社から来られているいわゆる技師さんたちは、あちこちの鉄道会社にも行くとは思いますし、必ず鉄道会社の社員が同行して作業を行いますので、技師さんたちは退避の指示に素直に従ってさっと待避し、運転しているこちらをちらっと見て会釈してくることが多かったです。

 

軌道内に入って作業される人の多くは、下請け企業で働く作業員の方々です。

作業員の方々は列車見張員に命を預けて作業しています。

それは列車見張員の資格を持ち、私がいた会社だとさらに教習所で一週間の研修を受けた列車見張員を信用しているからですね。

実際信用できなかったら線路内での作業なんて怖くてできないですよ。

 

ただ一部の作業員の方は勝手に

“この位置までならば列車に接触しない”

と決められているようで、運転台から見るとかなり“危険”だと感じてしまうことも多々あります。

待避しているその場所も接触の危険性があり、何度か非常制動で停止させたこともありますからね。

私ではありませんでしたが、退避完了という合図を列車見張員が運転士へ送ってきたのですが、作業員の待避場所が問題で、通過中の列車に作業員が接触して即死ということもありました。

最近はあらかじめロープが張れるように杭などを打ち込んでいるケースもあります。

さすがに張られたロープよりもレールに近づいて列車接近時に作業する人はいないので、安全面では幾分マシになったのかなと思います。

 

問題は列車見張員です。

列車見張員は列車の接近を作業員に知らせて触車災害の防止を図るための人員です。

まじめに取り組んでいる人が多いのですが、中には監視なんてそっちのけで一緒に作業をしちゃう人がいます。

私も運転士になって2年目のとき、完全に列車に背を向けて前かがみになりながら作業している姿を発見し、短急数声の急気笛を浴びせながら非常制動の措置を取り接触は免れたのですが、体が震えてどうしようもなかったですね。

怒鳴り付けようと頭では思うのですが声に出ないし、そもそも状況を無線で報告しようと思うのですが体の震えと声の上ずりで報告もままならないし。

こういうことがあると、鉄道会社から派遣元の会社(関連会社)を通してその列車見張員を派遣させないようにさせるとともに、その会社にもかなりきつく申し入れを行っていました。

 

ふざけた列車見張員もいますしね。

片足をレールに載せて大股を開けるような格好で、接近してくる列車に退避完了の合図を送ってくる人はよく見かけました。

列車が通過する本当に寸前にその列車見張員も退避しますが、一歩間違えば人身事故で即死ってパターンになりかねません。

作業員も列車見張員も退避はできているけれど、レール上に物を置いたままというケースもあります。

ショベルの柄がレールに乗っかったままなんてことは私も何度か経験していて、本当にギリギリで作業員がショベルを引きずって踏まずに済んでいますが、下手すれば脱線の危険性がありますからね。

 

それに加えて、近年は作業員に対して列車接近を知らせる気笛を省略するケースが多く、以前にも増して列車見張員が事故を回避するための重要なポジションになっており、少し気を緩めれば作業員ともども命を落としかねない、そんな危険な仕事になっています。

軌道内作業を行っている作業員に対する気笛(警笛)の省略
繰り返される触車災害2006年1月24日、JR伯備線の根雨駅~武庫駅間で保線作業を行っていた作業員が特急スーパーやくも9号と接触、3人が死亡し2人が負傷するという惨事が起きた。伯備線でのこの事故は、当該列車が新幹線との連絡のために15分ほど...

 

だからといって作業をするなとは言えません。

列車が通っていない深夜の時間帯の作業は、最近は近隣住民から騒音を訴えられてかなり減ってきています。

さらに未明の時間に作業を行う過酷さから人が足りない状況にもなっています。

なので日中に列車が通過する横での作業をおこなうしかない、そんな状態になっています。

 


2025/05/12から05/13にかけて、J2025年5月9日にR北海道で列車見張員が大事な列車接近を見張る業務を行わず、作業員とともに作業を行っていたというニュースが報じられています。

詳しくはわかりませんが、作業中は特殊信号発光機を設置して点滅させ、列車見張員が列車の接近を認めた場合は作業員を退避させたうえで特殊信号発光機を撤去するのか消灯させるのかな?

貨物列車の運転士が特殊信号発光機の点滅に気付いて直前で停止させたといいます。

 

また2025/04/22には設置されていた特殊信号発光機に普通列車が接触したようですから、列車見張員が作業に加わることが日常的に行われていたのかもしれません。

 

4月10日午後8時すぎ特急「北斗21号」の運転士が、室蘭線・豊浦駅手前のカーブで約280メートル先で作業員が線路を横切っているとして非常制動で停止。

作業員側の報告では、待避する際に側溝に足を落としてしまい体勢を崩していた。

JR北海道は曲線だったので運転士からは作業員が線路を横切ったように見えただけで、危険性はまったくなかったと説明しているようです。

これが本当だとしても、軌道内作業に関してかなりのトラブルというか故意的なミスが発覚しているJR北海道ですから、運転士側にすれば軌道内で作業するすべての人に対して疑心暗鬼になるのも仕方がないかなと思います。

 

私がいた会社でも、何を思ったのか作業員が上り軌道内に大型のコンプレッサーを置いて作業しており、列車が接近してもこのコンプレッサーの移動は無理だと判断した下り列車の運転士は直ちに列車を止めて、上り列車に対する列車防護を行うために手旗を持って軌道内を走ったという一件があり、作業員に対する不信感から大半の運転士が作業員に対して執拗に気笛を鳴らしはじめ、保線などの部署との確執が生じたこともあります。

私が加担していたのかは定かではない……。

 

話は逸れましたが、列車見張員は作業員の命を守っている重要な仕事ですし、万が一の事故を防ぐ重責を担った仕事。

それとともに、運転士に信頼される仕事をしなくてはいけません。(作業員を守る、事故を防ぐといったことに比べればずっと低くてもいいのですが)

JR北海道に限らず作業員の人員不足は各社局で大問題になっていますが、ただ人を集めるだけではなく教育にももう少し力を入れないと、とんでもない事故に発展しそうな気もします。

 

それと、会社内の雰囲気が悪くなると(経営状況、給与や休日の問題、残業過多、教育名目で理不尽な指導を行うなどなど)現場では考えられないミスが続発します。

そういった経験もしてきたから、JR北海道で続く列車見張員や作業員によるミスや虚偽報告で手当を申請した件などを見ていると、次はまったく違う事象が起きて大きな事故が発生するのではないかとちょっと危惧しています。

本社などの偉い方々が、現場は何をしているんだ! みたいな気持ちしか持っていなければ、この手のミスや事故は続きますよ、私の経験上……。


 


 

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