公共交通機関における発車時間・出発時間は動き出す時間です

車掌
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ほとんどの人は理解されていると思いますが、時刻表に書かれている時刻は列車やバスが動き出す時間であって、その時間に行けば列車に乗れるという時間ではありません。

私は鉄道業で働いていたので鉄道の話で進めますが、発車時間が9時24分0秒の場合、定時に出発させるためには9時23分50秒を過ぎたころにはドアを閉める操作をしなきゃいけません。

車掌がドアを閉めて、旅客の安全が確認されれば運転士に対して出発合図を送る。

運転士は出発合図の確認や戸閉め表示灯の点灯を確認してから転動防止(列車が転がらないようにしておく)のブレーキを緩め、力行して列車を走らせます。

 

バスも同じで発車時間はあくまで動き出す時間で、運転士は動き出すまでに左右の安全確認などを行いますから、この間にバス停に走ってきてドアを叩いて開けろなんて叫んだところで、運転士がドアを開けることは基本的にない。

だって遅れたら遅れたで文句を言うし、謝罪の言葉もないなんて平気で言われるわけですから、待って乗せてあげようとは思いませんよ。

とにかく公共交通機関ではホームなりバス停に発車時間になるまでにやって来て、到着を待ってから乗るのものです。

 

4年ほど前だと思いますが、埼玉高速鉄道がTwitter(当時)に上記のようなことをつぶやき、たしかまいどなニュースが記事にしてそれをYahoo!ニュースに転載し、そこに着いたコメントなのですが。

それはそれで言い分はわかるんだけど、阪急河原町駅みたいにお客さんが階段から降りてくるの確認してちゃんと乗せてくれる阪急のお客さんファーストの姿勢が素晴らしい!さすが、阪急阪神HDだな

もちろん最終電車だったり、日中でも運転本数が極端に少ない路線ならば仕方がないかなと思う部分もありますが、そこそこ運転本数があるはずなのにこんなことを乗務員がして、旅客もそれが当たり前って感じになるのが本当は最も怖い。

こういうことが当たり前になってくると、こないだは待ってくれたのに今日の車掌は待ってくれなかった、大変不愉快だしその車掌に謝罪してもらいたいなんて苦情が本当にきます。

そうなると今度は会社からその当該車掌が責められるんですよ。

定時で出発させたのに会社から怒られるという理不尽さ。

さらに悪いことに、この例だと阪急電車はドアを開けて待っていてくれるのに、○○電車は待ってくれない冷たい会社だなんて、とばっちりの苦情が本当にきますから。

※このとんだとばっちりの処理で大変な目に遭った助役時代……。

 

それだけではなく、都市部の鉄道はかなり高頻度の運転を行っているので、少しの遅延が幅広く影響を及ぼすこともある。

私は少々遅れているほうが気合が入った運転ができて好きでしたが、中には遅れていることをプレッシャーに感じるような人も実際にいますし、遅れていると文句を言われることもあります。

それが原因で精神的に病んでしまい、ミスにつながることも実際にあるわけですし。

 

 

今はあまり無いと思いますが、私が車掌のころなんて階段を降りてくる旅客を待ったりしたら、

「なんで勝手に遅らせてるんや!この遅れた分はお前が取り返せ!」

ってインターホンで怒鳴られて、そこから運転士は一切回復運転なんてせず、車掌が各駅での開扉時間を短縮して取り返すなんてこともありましたけどね。

※私が怒鳴られたんじゃないですけど、同期が大変な目に遭った遠い過去……。

 

階段を降りてくる人を待つことが良いという考えは、結局は乗務員が会社からプレッシャーを与えられているからなんでしょうけど。

それが当たり前というか、素晴らしいなんて考えを持つ利用者がいることに怖さを感じてしまうのです。

バスでもそうですよね、運転士は絶対にわかっているはずなのに待ってくれなかったとか、走ってきたのに乗せてくれなかったとか、ドアを叩いたのに開けてくれなかったとか。

電車やバスは自分に合わせて待ってくれるという勝手な思い込みか、ひょっとすると過去に待ってくれた経験からそう思い込んでいるのかはわかりません。

とにかく、公共交通機関を利用しようとするのならば、まずは発車時間までにやってきて到着を待ってください。

それが基本ですから。

いつも遅れてくるからそのつもりで行ったら、定時で出発しやがったなんて意味不明な苦情もありますが、何もなければ定時で出発するのが当然です。

それだって勝手な思い込みですから。

 

しつこくドアを叩いてきたり、ドアにくっついて開けるまで離れないような人もいますが、それはただの妨害行為(威力業務妨害罪等)ですから。

仕方がなくドアを開けて乗せたら、

「良かった、間に合った」

なんていう人もいますが、まったく間に合っていませんから。

 

 

2021年10月6日の記事を再編集しています


 


 

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