本業のほうが忙しく、約1か月ぶりの更新です。
2日前(2025/08/30)にも読売新聞に出ていたJR東日本・南武線の遅延問題。
ワンマン運転に変わってから遅延が酷くなり、昨年同時期の比較で10分以上の遅延が倍以上になっているなどと報じられています。
会社側はワンマン運転が遅延の原因ではないとの態度を、絶対に、何があっても崩すことはありません。だって認めたらワンマン運転を導入した会社側の責任を問われますからね。
- 発車メロディが駅ではなく車体側面から流れるようになり、周辺環境のせいで聞こえにくくなった。
- ホームドアとの連携の影響のため、列車到着後ドアが開くまでの時間がこれまでより数秒長くなった。
- 混雑率の増加。
会社側はこの辺りを遅延の原因としていて、ドアが開くまでの時間を短縮と発車メロディの音量を上げる改修とともに、将来的にはダイヤの見直しも検討する……。
JR東日本をはじめ大手鉄道会社でもワンマン運転の導入に積極的で、いわゆる「都市型ワンマン」の導入が盛んです。簡単に言えば車掌の省略だけで、料金収受やきっぷの発行は駅に任せる運行形態です。
私個人的には、会社側があらゆる事態を想定し、さらに現場での実態を把握したうえでのワンマン運転導入はやむを得ないと考えています。
人手不足と言うお題目を唱えながら人件費を削減することしか頭にない、そういう状態でなければですが。
私も運転士時代にワンマン運転は経験していますが、設備は貧相だったと思います。
運転台側にホームがあれば座ったまま操作できますが、車掌台側にホームのある駅の場合は立って移動して操作していました。(今どうなっているのかはわかりません、勤めていた会社のワンマン列車には運転士を辞めて10年を超えますが一度も乗っていません…)
ワンマン運転導入の時にかなり揉めて、車掌を廃止してワンマン運転導入をするのは人件削減の一環。ならば一時的な支出はあっても将来にわたって車掌の人件費はカットできるのだから、まずはワンマン運転導入に際して運転士の乗務環境を整えろ!
- ドアの開閉は運転席から行えるようにし、それに伴いホーム及び運転席にモニター類を整備しろ。
- 直ちにホームドアを整備しろ。
- ダイヤを見直し遅延が発生しないように対処しろ。
こんな要求を突きつけましたが何一つ実現せず、ほぼ見切り発車状態でのワンマン運転実施でした。
さらに駅到着から出発までの運転士の基本的な動作には、車掌がこれまで行っていた確認項目に加えワンマン運転実施に伴う新たな項目が加わり、これで駅停車時間などは変更なしでしたから、本当に酷い状態でした。
ワンマン運転に伴う新しい運転士の基本的な動作については、本社で検討された時に現行ダイヤでも問題がないとされ、まあそれを労働組合もすんなり受け入れてしまうという状態でした。
結局は南武線がワンマン運転になって以降遅延が酷くなっているのも、会社や労働組合が現場の状態を無視して、机上の計算だけで大丈夫と判断した結果だと思います。
ホームドアがあれば、動き出した列車の側面に接触する事故は防げます。
ホームドアがなければ車掌が側方監視(出発監視)を行い、接触する危険性があると判断すれば列車を止めますし、不意に接触した場合には直ちに停車させます。
ホームドアがない路線でのワンマン運転ではどうするのか。
私がいた会社の見解では、運転士が異常がないと認めて出発させた後に側面へ旅客が接触した場合、運転士には何も非がない。運転士には列車を起動させた瞬間から前方注視の義務が課されるため、列車側面での人身事故に関しては責任は一切ない。
こんな見解を平然と出し、労働組合もそれを認めましたからね。
ホームドアの設置は都市部のワンマン運転実施区間では最低限のことで、設置せずにワンマン運転を実施しているのは旅客の安全を著しく低く見ている証拠だと私は思っています。
その点JR東など多くの都市型ワンマン運転を実施している社局は、最低限の設備は整えていると思いますが、あまりにも機械類に頼りすぎになっているのも考え物です。
モニター類もデジタル化によるタイムラグがある中でのドアの開閉は危険すぎるし、遅延に繋がるのは明白です。
だからと言ってローカル線のようなホームミラーのみで都市型ワンマンを実施するのもどうかと思いますし。
停車時間の見直しや需要増に対応したダイヤ編成、ドアの開閉は基本的に目視(直視)、モニター類は出発前の安全確認にだけ用いる、当然ですがホームドアの設置は必要。
直視だと、閉めるのは今だ!と思った瞬間にドアを閉められるので、それほど大きな遅延は発生しませんが、モニターを見ながらのドア開閉操作ってどうしてもワンテンポ遅くなるんですよ。
ドアの開閉は直視とすることから、各駅とも運転台側にホームを設けることも必要です。
それにプラスして、ワンマン運転実施線区を担当すればワンマン手当の支給(車掌を省略して2人分の仕事を運転士に押し付けているのですからね)
ワンマン運転に限らず、列車の運行に当たっては現場を見ずに想像だけの机上の計算だけに頼っていてはダメですよ。結局は南武線の遅延なんて机上の計算だけで大丈夫だと判断した結果ですから。