2025年8月29日、JR九州・久大本線の南大分駅で、出発信号機がR(赤)なのに列車を出発させようとした事案がありました。
以前にも同じような記事を書いたなと思って見なおすと、やっぱり書いてましたね。


単線で同駅で行き違いとなるダイヤとなっていたが、上り列車は約5分遅れて運行していた。
当然ですが単線なので上り列車が到着しななければ、信号機は進行を指示する信号は現示されず赤のまま。
ところが下りの運転士はスタフや運転時計だけを確認したのか、信号機が赤なのにドアを閉めて列車を出発させた。
信号機が赤なので、当該信号機のATSが動作して列車は自動的にブレーキがかかり停車した。
報道によると40mほど進行して構内踏切をまたぐようにして止ったらしく、またこの踏切は遮断状態ではなかったらしい(開いていて通行可能な状態)
約5分後に信号機がG(青)に変わったため、当該列車はそのまま運転を継続した。
もう一つ今回の件では問題点があり、この件を会社が知ったのは9月1日にあった利用者からの問い合わせだったらしく、当該運転士は会社へ報告もしていなかった。
Yahoo!ニュースのコメント欄には、ヒューマンエラーは誰にでもあるが、この件では会社へ報告しないなど事後処置ができていないことが問題とする意見が多いようですね。
ヒューマンエラーを防ぐためのATSが動作したまでは仕方がないが、事後処置ができていないこと、または報告がしにくい社風があるのならばそれが問題、みたいな意見です。
たしかにそうなんですが、列車の運転士になるにあたって本当にきつく指導されることって、結局は赤信号の厳守なんです。
運転士は2年に一度は適性検査を受け、私がいた会社ではクレペリン検査と機械による反応速度検査を実施していました。
反応速度検査は中央がランダムに青・黄・赤が点灯し、点灯した色に応じた手元のボタンを押すという単純な検査ですが、青や黄が点灯している時に間違って赤のボタンを押しても減点は少ないが、赤が点灯している時に間違って青や黄のボタンを押すと減点幅がかなり大きい、そんな検査です。
画像は学林舎からお借りしました。
赤は左のボタン、黄は真ん中、青は右のボタンのように指定されて、同じ指だけを使って押します。
それによく言われていたのは、運転士は赤色に敏感に反応できなければいけないと。
「赤いものを見たら運転士は即座に反応するものだ」
「赤い衣類が沿線のお宅のベランダに干してあっても運転士はドキッとする生き物だ」
なんてよく言われましたし、そのくらいでないと務まらないって言われていました。
なので個人的には、
出発信号機が赤なのに列車出発させようとした
それだけで運転士としては失格で、すぐに他の職へ変わってくれとしか思えません。
ちょっときつい言い方ですけど、この手のミスを犯した人ってまた何らかの大きなミスをする可能性が高く、運転とは関係のない部署へ変わるほうが結局は本人のためになります。
温情か何かわかりませんが、この手のミスをした後に教育の上復帰させても、次はさらに大きな事故を起こす人をこれまでにたくさん見てきたので、本当にそう思うのです。
その次に、正しい事後処置を冷静に行えなければ乗務員なんてしちゃいけない。
ATSに関しては私がいた会社とJRとでは根本的に違っていて、その扱いも違うので分かりませんが、たとえばATSが動作した後の復帰の手順を踏むときに、運転指令などへの報告や指示・許可が必要ならば、恥ずかしくても絶対にしなければいけないし、
通常ではない行為や扱いを行った時は指令に速やかに報告するなど、やっちゃった後も冷静に判断して行動できなければ、運転士なんてやってはいけません。
実際には冷静になんていられませんけど、それでもとりあえず指令へ報告すれば、指令のほうから「○○は行いましたか?」みたいな問い合わせがあるでしょう。
とにかく、信号の確認と言うもっとも基礎の部分を疎かにした結果起きている事故ですが、ここ数年起きすぎています。
信号が赤なのに列車を動かした・動かそうとしたって、正直なところ信じられないし、そんな運転士は存在してはいけないとも思います。
率直に言うと、こういう運転士が列車を運転していることが腹立たしい!