平日の通勤時間帯の列車が、ダイヤ通りに遅れもせず運転されていることって珍しいと思います。
特に首都圏では相互直通乗り入れが複雑に行われているから、とんでもなく遠いところで発生した遅れの原因が広範囲に影響を及ぼすことも多いようですし、相互乗り入れをしていなくても自然発生的に遅れが発生することも多い。
通勤時間帯の2~3分遅れだと、いつもの事だと遅れに関する放送をしない社局も多い。
これは会社によって基準を決めていて、全体的に遅れが○分以上発生していたら遅延の案内をするみたいになっていますし。
でも利用者にすれば、
“また遅れてる”
“今日は何分遅れるんだ?”
って思いながら駅で電車の到着を待ったり、乗車していることだと思います。
※黙ってシレっと遅れている状況を“サイレント遅延”って呼ぶこともあるそうですね。
遅れの原因としてよく挙げられるものは、
- 乗降に手間取る
- 他線との接続時間が微妙
- 他線の遅れを引き継いでしまう
- 天候が悪い
だいたいこんな感じでしょうか?
1つのドアに集中して乗車しようとするからドアを閉められずに遅延するなど、乗降に手間取るケースは今も昔も多いですね。
学生が多い通学下校時間帯を中心に、友達を乗せようと思って車内にいる人がドアを手で支えて閉まらないようにする妨害行為も遅延の原因になります。
学生だけではなくサラリーマンも夕方以降はこの運行の妨害行為をする人が散見されますね。
他線との接続が微妙ってわかりにくいかな?
他の路線との接続駅で乗り換え時間が短いケースって多いと思います。
相互乗り入れしている社局同士は接続時間を意識してダイヤが組まれていますが、そうでなければ自社を優先したダイヤに当然なり、乗換駅での乗り換え時間なんてまったく考えずにダイヤが組まれます。
駅に到着してダッシュで改札を通り抜け、さらにダッシュして別の路線の駅の改札をダッシュで通り抜けて何とかギリギリで電車に駆け込む、なんてことを毎日されている方もおられるでしょう。
乗務員側から見れば、駆け込んでくる人が多くてドアが閉められずに遅延するというわけですね。
到着が遅れて乗り換えができなかったら、なぜ待たずに電車を発車させるんだ!なんてクレームも時々舞い込みますが、他社の遅延まで乗務員は知らないし……。
あとは天候ですね。
雨が降ると電車は空転や滑走によって通常の運転ができず、各駅に到着するたびに遅延が拡大していくことと、お客さんも傘を持って乗降するのでいつもより時間がかかるし、どうしても遅延は避けられません。
濡れた傘が当たらないように気を使って乗降する方も多いから、こういう場面での遅延は自然と長くなっていきます。
車掌・運転士をしていて感じたのですが、遅れの原因は上記のような理由が大きいです。
でも意外と遅れの原因となっているのは車掌・運転士自身であったり、ホームに立つ駅の係員のことも。
駆け込みがあってもドアに当たりそうでなければ再開扉する必要はない。
閉まったドアにぶち当たれば、それはその旅客が勝手にやったことです。
※見ている側からすれば〝当り屋〟にしか見えないし……。
ところが若い車掌を中心に電車がすでに遅れているにもかかわらず、かなり遠くからやってくる旅客を待ったりするんですよね。
待ってもらえて乗れた人はラッキーですが、その他大勢の乗客は遅れが拡大することで相当な迷惑を被っている。
それに、とにかく乗車するまでドアを閉めずに待つ車掌を体験した人は、次回以降も待ってくれて当然と考え、今日の車掌は待たずにドアを閉めた!なんて言いだすわけですよ。
一人の車掌(乗務員)が良かれと思ってした行為が、他の多くの車掌(乗務員)の迷惑を発生させていることに気付かず……。
ラッシュ時間帯にホームに立つ係員(押し屋・ケツ押し)もそうで、本来は定時で出発させるため旅客の流れを切る役目もあるのです。
あるところで流れを切って、係員より前の人には取りあえず車内へ入ってもらい、係員より後ろの流れを切られた人は後の列車に乗車してもらう。
ところが最近は(関西だけ?)ドアを手で持って閉まらないようにし、遠くから走ってくる人を待ったりします。
本来の目的からは逸脱しているし、たまたまその係員の近くにいた人はドアを手で持っているから乗車できて、離れた場所にいる旅客はドアが閉まっていて乗車できないという不公平感まで演出しているのです。
いつまでドアを強引に開けて本来乗れない人まで乗せる気なんだって、運転士をしながら何度キレかけた事か……。
運転士は単純に遅い人がいます。
ラッシュは確かに慎重に運転する必要はありますが、そこまで神経質にならなくてもいいのにというほどに、制動距離をメチャクチャ長く取る運転士がいます。
日中の運転の様に一気にブレーキを入れなければ、そんなに神経質にならなくてもいいのですが。
酷い運転士になると、きついブレーキを掛けたくないからか通常よりかなり速度を落として運転するヤツまでいましたからね。
私が所属していた区には何人かそういう運転士がいました。
ラッシュの時間帯に先行の普通列車がやたらと遅く、優等列車を運転している私はかなりイライラして運転しながらも、この遅さはアイツかアイツのどちらかじゃないかと考えるわけですよ。
そして緩急接続の駅で隣を見た時や、待避駅で追い抜いて行く時に普通列車の運転士の顔を見ると、やっぱりアイツだ……、っていうことが往々にして起こるんです。
車掌・駅の係員(特にバイト)・運転士による強力タッグで通勤時間帯の電車が遅れる一因にもなっているわけです。
でもだるい車掌や運転士になると、昼間の閑散時のダイヤでも平気で遅らせたりしますからね。
だるい車掌と乗組むと、もっとも空いていて楽に運転できる時間帯なのに、ずっと最高速度まで引っ張らないと遅延することもあったし、なぜ昼間の優等列車が先行の普通列車に追いつき、ずっと黄色い信号ばかり見なきゃいけないんだ、なんてこともありますしね。
最後に忘れてはならない原因……。
コロナ禍以降、一部の会社ではワンマン運転の新規実施や実施区間の拡大、運転本数の削減や編成両数の短縮化に積極的に取り組んでいますが、人手不足という面も確かにあるけど、今以上に経費を切り詰めて何とか収益を上昇させよう、そんな思惑を持つ会社も多いように感じます。
利用者が伸びている路線でワンマン化を実施する、言い方はあれですが今の時点では愚策と思えることを実施した会社もあるし、利用者はたしかに減少傾向かもしれないけど、減少幅を先読みしすぎて極端に運転本数の削減や編成両数を短くして、今現在の利用者に迷惑をかけているケースもあります。
これは利用者も乗務員も悪いわけではなく、会社があまりにも目先の利益を追求しているために起こる列車の遅延ですよね。
それでもクレームは駅や乗務員へ寄せられるので、人手不足を理由にする会社の施策によって人材が流出し集まらなくなる新たな人材不足を招く結果になっているのでは思ってみたり。
私がいた会社だけかもしれませんが、列車なんていくら遅れてもいいと公然と言い放つ上層部もいますからね……。

