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勉強不足の車掌が多くなった

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車掌は電車のことを知らないと仕事にならなかった

私が車掌をしていたのは今から30年以上前。
その頃の車掌は、車両のことを知っていないと恥をかいてしまう場面が本当に多かったです。

 

古い車両ってすぐどこかが調子悪くなるので、乗務中に運転士からいろいろと指図されることが多かったのです。
走行系で頻繁に言われたのが
「そっちの車両のアンメーターは動いているか?」
アンメーターとは電流計のことで、ノッチを入れて加速しているときや、ブレーキの時に電制が働いていれば電流計の針が振れます。
ノッチとは車で言うところのアクセルで、電制はエンジンブレーキに当たります。

 

妙に加速が悪いときに運転士は、まず自身が乗務している側の車両のモーターが正常に働いているかを、電流計の針の振れによって確認します。
正常だと分かれば、次は最後尾に乗務している車掌に後ろの車両のモーターが正常に働いているかを、電流計の針の振れによって確認してもらいます。

 

 

その他にも車掌に、配電盤の運転に関するスイッチ(配線用遮断器)が落ちていないかを確認してもらうことなどもよくありました。
こういうとき運転士は
「コンプレのスイッチがトリップしていないか見てくれ」
トリップとはスイッチ(配線用遮断器)が落ちていることを指し、過電流が流れると落ちる(遮断)仕組みになっているからです。
そしてコンプレのスイッチがどこにあるのかも知らなければ見ることもできません。
会社によって違うとは思いますが、コンプレッサーのスイッチのプレートには「CP」と書かれていましたし。
なので運転士が一般的に用いる用語も知っていなければなりませんし、スイッチ類がどこにあるのかも知らないとダメだったのです。

 

勉強不足の車掌は会社が作っている

ところが私が運転士の晩年の頃
「そっちのアンメーター振っているか見てくれる?」
と車掌にインターホンでお願いしたところ

「アンメーターって何ですか?」
「運転席の左側にある電流計のこと」
「え?どこにあるのですか?」
「左側に電圧計と並んであるだろ?」
「え?え?・・・」
「もういいよ」

こういったことが数回ありました。
昔の運転士ならば怒鳴り散らしていたでしょうし、そんな程度が分からない車掌は指導担当助役からも怒られていたでしょう。
でも今は違っていて
「そういう時は車掌に聞かずに、運転指令へ一報を流してくれ」
と逆に運転士の側が言われる時代になっています。

こんな調子なのですから、そりゃ勉強不足の車掌が多くなるのも当たり前でしょうね。



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