富山地方鉄道の不二越・上滝線、朝菜町~南富山間で一カ所のドアが開いたまま約700m走行するというトラブルが2025/06/16にありました。
時間は朝の7時40分ごろなので通勤通学客が多い時間で、3両編成の電車には約200人が乗車していたとか。
開いていたドアは何らかの理由で走行中に閉まったようです。
本社側がこの事態を把握したのは利用者からのメールでお昼になってからだという。
最初この記事の一報を見た時に不思議だったのが、時速25キロで走行となっていたこと。
富山地鉄について詳しくありませんが、時速25キロで走行しなければいけない条件(徐行区間など)があればわかりますが、何もないのに25キロで走行するなんてあり得ないなと思ったのです。
それと、電車ってドアが一つでも開いていると回路が構成されず、運転台の戸閉め知らせ灯(パイロットランプ)が点灯しないし力行(モーターを回して走行)もできません。
そして車側灯も消灯しませんから車掌も気付くはずです。
※大昔、私がいた会社の車両の車側灯はあまりにも暗くて日中は点灯状態がわからなかった……。
なので扉が故障して力行できない事態を避けるためのリレーがあって、そのリレーを短絡させたのかと思いました。
社局によって様々な呼び名があるようですが、このリレーを切り替えて短絡させると、ドアが全開の状態であっても力行が可能になるので、ひょっとすると無断で切り替えたのかなとも思いました。
新聞によると、
- 運転士も車掌もランプ(戸閉め知らせ灯や車側灯)を確認した。
- 朝菜町でブレーキを緩めて発車しようとした際うまく加速できなかった。
- 朝菜町からは下り勾配で列車は自然に加速したとみられる。
- うまく加速できなかった時点で列車を止めて点検する必要がある。
うまく加速しないってどういう状態なのかなと、また考えてしまいました。
- たとえば、戸閉め知らせ灯の点灯を確認してノッチを入れると動き出したのに、すぐに切れてしまって力行できなくなったのか、
- そもそも戸閉め知らせ灯が点灯していないのにブレーキを緩めて、下り勾配のために転がっていったのか。
1.のケースは運転士をしている時に何度も経験しています。
戸閉め知らせ灯の点灯を確認してブレーキを緩めてノッチを入れるが、動き出した瞬間に切れて加速できなくなる。
たいていはイタズラで、閉まっているドアを力づくでほんの少しだけ開けられた時に起きてます。
動き出してすぐにノッチが切れるからガクンって感じの衝動が大きくて、車掌もすぐに気付きます。
気の回る車掌はそこですぐに、
「イタズラでドアを開けるな!」
って車内に放送していました。
今回のケースが1.だとすると、少しだけ動き出したから止めずに後は転がしていったということになります。
もしも2.のケースの場合ですが、新聞には運転士も車掌もランプ(戸閉め知らせ灯や車側灯)を確認したと書かれていますから、運転士と車掌の確認ミスまたは見間違いということになり、かなり大きなミスということになります。
後はドアがどの程度開いたままだったのかも気になります。
ほぼ全開だったと新聞等では報じられていますから、ドアの故障やドアレールに何かが挟まっていた、あとはドアコックが半開き状態になっていたとか。
ドアの故障は突然起こりますし、ドアレールに小石やパチンコ玉が挟まっていたというのは何度も経験しています。
ドアコックの件ですが、利用者が勝手に触るケースもあるし、出庫等の点検の際に半開き状態のコックを乗務員が見落とすケースもあります。
コックが定位より少しだけ動いていると目視だけでは気付かないし、何駅かは通常通りにドアは開閉しているけど突然閉まらなくなることはあります。
ブログに書いている時点では明確な原因はわかりません。
もしも2.だとすると近年の乗務員の質の低下というか、会社側がうまく教育できていないのも原因だろうなと思ってしまいます。
以前に書いた記事ですが……。

昔のように頭と体に叩き込むような教育ができないので(パワハラだとして訴えられます)昔よりやさしく教えるしかないのですが、そうなると教えるほうのスキルが高くなければ何も知らない人には伝わりませんよね。
私自身は駅や車掌の時の〝師匠〟の教えるスキルの低さからくる恫喝まがいの教育を受けたので、昔が良いとは思えません。
ただ乗務員として仕事をしていく中で本当に重要な部分が伝わり切れていない、そんな思いもあります。
人手不足の中、せっかく集まった人たちを逃がしたくはないからと、スキルの低い管理・監督者側が教えることで赤信号も守れない乗務員が生まれているとしたら……。