JR東海が2025年5月30日付で降雨運転規制を見直すと発表。
盛土や切取構造が半数以上を占める東海道新幹線なので、土壌に含まれた水分量による規制値に変えるようです。
近年ゲリラ豪雨の発生が多くなって、降った雨の量だけを規制値として使用していると運転規制の回数がどうしても多くなるので、安全を確保したうえで運転規制を少なくできないかという方向に変えたのでしょうね。
上手く運用できればこれまでより運転見合わせの回数が減るかもしれません。
あちこちで警報級の雨が降り、鉄道もあちこちの路線で土砂崩れなど大きな被害を受けたりしていますし、そこまでいかなくても雨量規制によって運転を見合わせる区間が相当ある、なんていうニュースが流れることが多くなっていますが、
「大雨で運転見合わせかぁ、相当な降り方をしているもんなぁ。うん? 大雨による運転見合わせなんて経験したことはないなぁ」
とひとり呟いたことがあります。
風がきつくなったために速度を規制するとか運転を見合わせる(抑止)経験は何度もありますが、雨量による運転の規制って速度規制までで、運転見合わせなんてしたことがないんですよ。
もちろん雨量による運転規制についても規則に定められてはいるんですよ。
45㎞/hか60㎞/hだったかは忘れましたが、たしかに速度規制の経験は何度かあります。
大雨が原因による土砂の流入とか倒木で運転抑止の経験もあります。
でも雨量計が基準値を超えたので運転見合わせという経験は一度もありません。
1時間雨量や24時間雨量が規制値を超えれば、速度規制や運転見合わせを行うというのはどこの鉄道会社でも取り決めがあります。
ただこの規制値の決め方がJRのほうが厳しめになっているのに対して、私鉄の規制値はかなり緩くなっているのではないかな。
だってJRと並行して走る京阪神間でもJRは運転を休止しているけど、JRを挟むように走る私鉄各社は遅延はあるものの運転していますからね。
※台風など強風時も同じようなパターンの気がする
豪雨になると乗務区の助役や保安関係の係員のほか、土木・工務・電気などの係員が列車に添乗して状況を確認する添乗が強化され、線路や土砂、あとは川の様子などを見回ります。
よく工務関係の係員に聞いたのですが、地盤の中でも粘土質の区間は雨が溜まりやすく、車両の重みで枕木とバラストの隙間から水が吹き上がるので、その区間は特に注意している。
そうかと思うと、その粘土質の区間から少し移動すると土の質がまったく違っていて、あまり水は溜まらないけど土砂が崩れやすい区間だとか。
東海道新幹線の新しい降雨運転規制もこういった理由から改められたのかなと思ってみたり。
雨量での規制は速度だけで運転見合わせにまで至ることはありませんでしたが、それでも川が増水して危険だから徐行とか運転見合わせということはありました。
水かさが上昇して川の勢いが増せば下手すれば橋脚が流されることもあり、そこへ列車が突っ込めば大惨事になりますから。
豪雨になると雨が真っ白なカーテンのように前方をふさいでしまい、まったく前が見えない状態でも電車を止めることなく運転を継続していました。
車掌だって豪雨によってホーム上が2~3両分先までしか見えないのに、それでも何とかドアを閉めていたし、運転士に出発合図を送っていましたからね。
いま思えばそんな状況下でよく100㎞/h以上の速度でかっ飛ばしていたなぁと思います。
でも運転していて本当にこれはマズいんじゃない? と思うこともあり、そんな時は指令に一方を入れて速度を落として運転もしていましたよ。
でもそういう区間は短いので、そこを抜ければ遅れを取り戻すべくまたかっ飛ばしていましたけど。
豪雨の中でも1~2分以内の遅れしか出さずにどの運転士も運転するのですが、仕事が終わっていざ帰ろうと思った時、
「うちはふつうに動いているけど、JRが止まってるから帰れない……」
乗務区の休憩所にはJRの運転再開を待つ、勤務が終わった乗務員がたくさんいる。
そんな光景もよくありました。
2020.07.13の記事を書き直しています