ようやく全国の交通機関で運転作業に当たる社員・係員へサングラス着用を認める動きが広がってきました。
JR西日本が試験導入すると発表したのは2019年9月12日ですから、もう5年半以上が経過しています。
遅くとも3年以内には導入する社局が大半の状況になるだろうと思っていましたが、相当遅いですね。
パイロットや白バイの警察官は昔からサングラスを使用していますよ。
元々は直射日光によって視認性が著しく悪化すために使用しているのだと思いますが、サングラス着用による疲労軽減も大きな理由として挙げられます。
またサングラスの着用でUVから目を守ることで、ドライアイや白内障の予防にもつながると眼科医もごく普通に勧めています。
※ただ色が付いているだけのメガネではなくて、UVカットの性能が高いサングラス。
なのに昨年や今年に入ってようやく導入した事業者はもとより、まだ導入していない鉄道やバス事業者は労働者の健康を蔑ろにしていると言えますよ。
私が車掌になった当時(1983年ごろ)に言われたのですが、
「サングラスの着用は厳禁! 見た目が悪く旅客に不快感を与える」
こういう考え方がほんの数年前まで蔓延していたし、いまだにこう考える経営者層が多いのでしょうね。
よく言われたのは、
「日除けを設置しているのだから何の問題もない」
車の日除けのように透き通っていないモノならまだしも、私がいた会社の車両に付いていたものは青やグレーのプラスチック製で透けているモノ。
真夏の朝日や夕日はもちろん、冬だってこんな日除けではまともに前方が見えません。
線路が東西に敷かれている区間なんて、夕方沈みかけた太陽が発する光は強烈なオレンジ色で、役に立たない日除けで目にまともに光が入ると、周囲の風景は真っ白にしか見えません。
実際の話、踏切を通過する時なんて人が入っていたとしても本当に何も見えませんし、見えたとしても列車に接触する寸前ですからね。
また駅に停車または通過する際、ホームへ入っていっても眩しすぎてホーム上のお客さんも確認できません。
いろいろな工作物や人の黒っぽい影、みたいにしか見えません。
そして停止目標も同様に周囲の風景に溶け込んでしまって分からないから、この辺かなって感じで適当に止めていましたからね。
冬の日差しって低い場所から差し込んでくるので、実は夏以上に見えにくかったりします。
そして日除けによってはあまり下のほうへ下がらないので、目いっぱい下げた日除けの下から太陽光が差し込んできて、目が完全にやられてしばらく何も見えない状態になったりもしていました。
古いツーハンドル車両だと、マスコンのレバーサーを中立にしてノッチから手を放してもデッドマンが動作しないようにして、左手で日差しを覆いながら右手でブレーキ操作することも多かった。
あまりにも前が見えないので私物のクリップオンのサングラスを購入して、着用しているメガネにかけて運転したこともあります。
客から苦情が入って怒られましたけど……。
ちなみに昔からサングラスを着用しての乗務を禁止する規程はどこの社局にも盛り込まれていなかった気がしますし、どこの会社かは忘れましたがそこそこ昔、会社がサングラスを支給していたなんて話を聞いたこともあります。東武だったかな??
太陽がまぶしすぎて事故を起こそうが、過走(オーバーラン)しようが、信号機が見えずに冒進しようが、一切運転士に責任は負わせないという社局ならばサングラスの導入をしないという決断もありかもしれませんが、
※それでも目への健康被害の補償はしなくちゃいけませんが。
特にバスは鉄道から見ると信じられないくらいに運転士にすべての罪を押し着せる傾向が強いですから(道交法も含めて)サングラスの導入は当然だと思いますけど。
私は運転士時代に、日除けが小さすぎて一切太陽光を遮られない車両を担当時はサングラスの着用を認めろ。それがダメならば早急に日除けを取り換えろ!
なんて乗務区の助役たちを大ゲンカしたこともありますからね……。
ついでに言うと、運転士だけではなく屋外で業務に当たる人すべてにサングラスの着用を認めろ!と思います。
だって眩しくて前方の安全の確認が難しくなるのは、車掌やホーム上の駅員もだし、保線等の軌道内で作業する人も同じですからね。